—平山 優勝者に、第二次世界大戦に兵隊で行ってたというオヤジがいてね、ものすごく痔で困ってた人なんだって。なんでも、「きのこの国」みたいに出ちゃうとかいって、どうにか収めなくちゃいけないって、結局、自分で何とかしたら、今度はウンチが出なくなっちゃったのね。詰め物したんでウンチが出ない。そのうち直腸が、デブのストッキングみたいになってきて、「尻が痛い~」ってことになって。一体、何を詰めたんだって見てみたら、高射砲の弾を入れてるわけ。アナルに。医者もたまげたけれど、 とにかく手術しないとダメだからさ、局部麻酔使ってやったらしいんだよね。肛門切って、穴広げて、手術しながら「ところでこの砲弾、死んでるんですよね?」って言ったら、「ふざけんじゃない」と。「俺がそんなナメたものを使うか!」と。「こいつは今でもメッサーシュミットぐらい撃ち落とせる現役の砲弾だ!」って叫んだら医者が手術室からいなくなっちゃった。で、代わりに爆発物処理班が来て、信管を抜いて、やっとケツから出したっていう話があって。でも、爆発物は取ったけど、そのあとからもっとスゴイのが大量に出てきて……処理班、真っ青みたいなさ。どうして入れちゃうのか、わからないよねえ。だって信管のついた高射砲の弾なんか入れたら、爆発したら飛んでっちゃうわけじゃない。映画の『シン・シティ』ですよ。なのに何でするのかなぁと。そのオヤジは自分の中では死んだ弾ではやらない!みたいな誇りがあったんだろうけど。”ライブ・ブレット”でやるのが男だみたいなのがあったんだね。
春日武彦 平山夢明 「「狂い」の構造 ~人はいかにして狂っていくのか?~」
